MiniMax M3.1 Flashの料金|70%削減を読み解く
代表取締役 上坂大地郎

MiniMax M3.1 Flashを費用で選ぶなら、「タスク全体のコスト70%減」と「APIの単価」を分けて見てください。2026年10月19日に正式提供が発表された新モデルですが、現行料金表でM3の標準単価と比べると、入力・出力は条件付きで半額です。70%という数字を、そのまま請求額の割引率にはできません。
- API料金は100万トークンあたり、入力0.15ドル・出力0.60ドル・キャッシュ読取0.015ドルです。
- 推論はオフにできず、深さを5段階で調整します。設定を省略すると
maxになるため、待ち時間を見るときも確認が必要です。 - 発表時は「重みは後日公開」とされていましたが、10月25日の公式リポジトリにはモデル重みが掲載されています。
対象は、コード修正や資料の処理に使うモデルを検討している開発者と、MiniMax Codeを試したい人です。読み終えたら、料金の見積もり、利用経路、推論設定を切り分けて検討できます。以下は10月25日に確認した公式資料の解説です。日本語での品質、速度、実際の請求額を測った記事ではありません。発表・現行料金
正式版で広がる選択肢は、API・Code・公開重み
文章を返すモデルと、作業するアプリを分ける
M3.1 Flashは、コード作成や複数の工程を伴う作業を主な用途にしたモデルです。公式モデルカードでは、テキスト・画像・動画を入力し、テキストを出力すると説明されています。画像を読み取れることと、画像ファイルを直接生成することは同じではありません。モデルカード
MiniMax Codeは、そのモデルを使って作業を進める入口です。道具を使う仕事では、モデルを担当者、アプリを作業場と考えると区別しやすくなります。同じ担当者でも、資料を読むだけの机と、コードを実行できる環境では、取り組める作業が変わります。
公式発表では、MiniMax API、M Plan、MiniMax Codeを利用経路として案内しています。既存アプリへ組み込むならAPI、画面から仕事を依頼するならCodeが検討の入口です。ただし、サービスにモデル名が載っていることと、自分のアカウントでそのまま使えることは分けて確認してください。利用開始の案内
「後日公開」という初報だけでは現在を判断できない
10月19日の発表記事には、モデル重みは後日公開すると書かれています。一方、10月25日に確認したMiniMax公式のHugging Faceリポジトリには、モデルカードだけでなく、分割された重みファイルとLICENSEが掲載されていました。公式ファイル一覧
重みは、学習結果を保存したモデル本体のデータです。配布が確認できても、手元のPCですぐ動くとは限りません。自分で運用する場合は、ライセンス、必要な計算資源、対応する実行基盤を別途確認します。今回はファイルの掲載までを確認し、ダウンロードやローカル推論は行っていません。
このため、クラウドで試す判断と、自前の環境へ導入する判断は分けるのがよいでしょう。公開重みを待っていた人には新しい選択肢ですが、APIの低い単価だけから、自前運用の方が安いと結論づける材料はありません。
70%減の対象はタスク費用で、単価表の割引率ではない
同じ単位で比べると、入力と出力は50%下がる
公式発表の70%減は、前世代に対するエージェント型タスク全体の利用コストについての説明です。単位あたりの料金だけでなく、作業に要する処理量などが関係する指標として読む必要があります。個々の利用者の仕事で同じ削減率になることは、今回確認していません。
現行料金表を比べると、次のようになります。M3は標準処理・1リクエストの入力が512kトークン以下の欄を選びました。長い入力や優先処理の料金を混ぜた比較ではありません。
課金項目:100万トークンあたり | M3.1 Flash | M3:標準・入力512k以下 |
|---|---|---|
入力 | $0.15 | $0.30 |
出力 | $0.60 | $1.20 |
キャッシュ読取 | $0.015 | $0.06 |
入力と出力はそれぞれ50%減です。キャッシュ読取は75%減で、どの項目も一律70%引きではありません。これは10月25日の公式料金表からの計算です。発表のタスク費用の評価を否定するものではなく、比べている対象が違うことを示しています。料金表の出典
見積もりは、使う量を仮置きしてから計算する
想定シナリオとして、ある期間にキャッシュを使わない入力を合計100万トークン、課金対象の出力を合計10万トークン使うとします。M3.1 Flashのモデル利用料は、0.15+0.60×0.1で0.21ドルです。これは単価だけを使った例で、実請求ではありません。
トークンは文章を処理する単位です。日本語の文字数と同じではないため、「100万文字でこの料金」と読み替えないでください。見積もりでは、利用履歴やAPIが返す使用量を基準にします。再試行やツールの追加料金があれば、モデル単価の計算とは別に足します。
安さを比べるときは、失敗してやり直した処理も含めて考えると実態に近づきます。1回の回答が安くても、同じ修正を何度も頼み直すなら、その分の時間と費用が残るためです。記事の計算例を自分の仕事へ当てはめる際は、成功した回答だけを集計しないようにしてください。
なお、上の表は従量APIの料金です。M Planの月額や利用枠を示す表ではありません。今回はプラン購入画面の現行条件を十分に照合できていないため、月額、初月割引、無制限利用を前提にした比較は載せていません。
Flashでも推論は常時有効、初期設定はmax
速さを変える入口は、推論の無効化ではなく深さ
公式API資料では、M3.1 Flashの推論は常時有効です。推論を無効にする指定やnoneは利用できず、エラーになります。短い質問だから自動的に推論なしで動く、とは考えない方がよい仕様です。Model Invocation
推論の深さには、low、medium、high、xhigh、maxがあります。OpenAI互換のChat Completions形式なら、指定名はreasoning_effortです。公式資料では、深い設定ほど推論量と待ち時間が増え、省略時はmaxになると説明しています。
確認する項目 | M3.1 Flashでの扱い |
|---|---|
モデルID |
|
Chat Completionsの推論設定 |
|
設定を省略 |
|
推論の無効化 | 対応しない。 |
回答と推論の取得 | 最終回答と |
同じ「max」という名前でも、他社モデルと同じ処理量を保証するものではありません。比較するときはモデル名だけでなく、選んだ推論設定も記録すると、待ち時間の差を後から調べやすくなります。設定の出典
回答が空なら、通信以外の原因も確かめる
出力上限を短くすると、推論に枠を使い、最終回答が空になる場合があります。公式SDK資料は、推論トークンも生成上限に含まれ、上限不足ではfinish_reasonがlengthになるケースを説明しています。新しい実装ではmax_completion_tokensが案内されています。
空の回答を見て即座に接続障害と判断するより、終了理由と出力上限を確認してください。既存の呼び出しコードを流用すると、以前のモデルに合わせた制限が残っていることも考えられます。ここはモデル名の置換だけで済ませず、応答の受け取り方まで点検したい部分です。
ツールを繰り返し呼ぶ実装では、会話履歴へ戻す情報も確認します。公式資料は、モデルの応答全体を履歴へ保持するよう案内しています。表示する最終回答だけを抜き出して保存する処理と、次の推論へ渡す会話履歴を同じものとして扱わないでください。SDKの注意事項
APIで組み込むか、Codeで依頼するかを先に決める
モデルの能力を調べる前に、どこで結果を使いたいかを決めると、試用の準備が少なくなります。既存アプリの返答を置き換えたいならAPI側の設定を確認し、作業をまとめて依頼したいならMiniMax Code側で使えるモデルと道具を確認します。

同じモデルを使っても、設定する場所と使える道具は入口ごとに異なります。先に利用経路を決めると、試用前に確かめる項目を絞れます。
APIでは、接続先とモデルIDをセットで確認する
公式資料のOpenAI互換APIの接続先はhttps://api.minimax.io/v1です。互換形式に対応したSDKを使えるという意味で、OpenAIの契約や利用枠でMiniMaxを呼ぶという意味ではありません。APIキーと請求先も、自分が利用する提供元のものを確認します。
次は公式資料に沿った設定の抜粋で、実行済みコードではありません。完成したリクエストではないため、既存クライアントに必要な認証やメッセージを別途用意します。
{
"model": "MiniMax-M3.1-Flash",
"reasoning_effort": "max"
}
初回は、この設定で短い回答を受け取れるかを見る程度で十分です。その後、実際の仕事に近い入力へ移ります。複数の接続先を切り替えている場合は、応答に表示されたモデル名と、選択した接続先を記録しておくと、別のモデルの結果を比較へ混ぜずに済みます。公式API資料
Codeでは、依頼と一緒に完成条件を渡す
MiniMax Codeを選ぶ場合は、アプリ内でモデルとアカウントの利用可否を確認してください。公式の紹介ページから開いても、それだけでアクセス権が付与されるわけではないと案内されています。利用条件の案内
コード修正を頼むなら、対象ファイルに加え、不具合の再現手順と「何が直れば完了か」を用意します。資料の整理なら、参照する資料の日付と、出力に含めたい項目を指定します。モデルへの依頼を増やす前に、入力不足と処理能力の不足を分けられる状態にしておくためです。
公表スコアは、作業環境を含めて読む
同じ公式表でも、すべての項目で首位ではない
MiniMaxは、推論の高速化やエージェント能力の向上を掲げています。ただし、「高性能」という言葉だけで別のモデルから全面的に切り替える根拠にはなりません。公式モデルカードの評価表にも、比較先が上回る項目があります。
たとえばコード修正を扱うDeepSWE v1.1では、M3.1 Flashが73.7、DeepSeek V4.1 Flash-1017が77.0と掲載されています。これはMiniMaxが掲載した比較であり、本記事が同じ環境で再測定した値ではありません。脚注には、評価に使った実行基盤やコンテキスト長も記載されています。評価表と脚注
この1項目だけでDeepSeekがあらゆる仕事に向くともいえません。自分が困っているのが小さなバグ修正なのか、画面操作なのか、長い資料の整理なのかによって、確かめたい結果は変わります。比較相手の更新内容は、DeepSeek Flash 1017の解説でも整理しています。
生成速度と、仕事を終えるまでの時間は別
公式の「約3倍速い」という説明は、オンライン推論についての提供元評価です。コード修正の依頼から、テストを通して結果を確認するまでの全工程が3倍速くなる、と言い換えないでください。速度の説明
実際の仕事では、モデルが出力する時間のほかに、ファイル読み取り、外部ツールの実行、修正のやり直し、人による確認が入ります。読者が減らしたいのはどの待ち時間なのかを決めておくと、速度の宣伝と自分の課題を混同しにくくなります。
比較用の依頼を1つ作り、設定と結果を残す
ここからは、試用方法についての編集上の提案です。新モデルの機能を一度に使い切ろうとせず、普段困っている作業を1つ選んでください。たとえば、再現できる不具合があり、テストで直ったかを判断できる小さな課題なら、結果の良し悪しを確認しやすくなります。
想定シナリオとして、入力が空のときだけ誤った表示になる画面を直す仕事を考えます。「画面を改善して」ではなく、空の入力、通常の入力、修正後に維持すべき表示を示して依頼します。使うデータは公開可能なサンプルへ置き換え、正解を判断できる状態を先に作ります。
比較メモには、モデルID、利用経路、推論設定、入力、最終結果、使用量を残します。時間を測るなら、最初の返答までと、確認が終わるまでを分けます。これは特別な評価設備の話ではなく、次に同じ依頼をしたときに条件を思い出せる程度の記録で構いません。
1回の成功だけで日常業務全体へ広げる必要はありません。失敗した入力や、追加で説明が必要だった箇所があれば、それも比較材料です。推論を浅くしたら条件を読み落としたのか、そもそも資料が足りなかったのかを見分けてから、別の設定を試す方が変更の効果を追えます。
M3.1 Flashの検討で最初に押さえるのは、従量単価、推論の深さ、使う入口です。70%という数字は公式のタスク評価として受け取り、自分の利用料は使用量から計算する。そのうえで、完成条件を満たした仕事がどれだけ残ったかを確認してください。
参考・出典
- MiniMax「MiniMax M3.1 Flash: Redefining Agent Performance and Cost」:https://www.minimax.io/blog/minimax-m31f(発表日: 2026-10-19、参照日: 2026-10-25)
- MiniMax API Docs「Pricing Overview」:https://platform.minimax.io/docs/pricing/overview(参照日: 2026-10-25)
- MiniMax API Docs「Model Invocation」:https://platform.minimax.io/docs/guides/text-generation(参照日: 2026-10-25)
- MiniMax API Docs「OpenAI SDK」:https://platform.minimax.io/docs/api-reference/text-openai-api(参照日: 2026-10-25)
- MiniMax公式モデルカード「MiniMax-M3.1-Flash」:https://huggingface.co/MiniMaxAI/MiniMax-M3.1-Flash(参照日: 2026-10-25)
- MiniMax公式モデルファイル一覧:https://huggingface.co/MiniMaxAI/MiniMax-M3.1-Flash/tree/main(参照日: 2026-10-25)
- MiniMax「M3.1 Flash is Now Generally Available」:https://agent.minimax.io/tools/m3.1-flash(参照日: 2026-10-25)


