ChatGPTのDataエージェント登場|分析・共有で変わる3つのこと
代表取締役 上坂大地郎

会社のデータを調べ、その結果をダッシュボードへまとめる作業を、ChatGPTとの会話から進められるようになりました。 OpenAIは2026年9月10日、ChatGPT WorkのDataエージェントを発表。公式ヘルプでは、Codexからの利用も案内しています。OpenAIの発表、Dataの利用案内。
押さえたいのは、次の3点です。
- 分析には、接続したデータと会社で決めた指標の定義を使います。 「売上」「利用者」といった言葉の意味をそろえる作業は残ります。
- 回答のあとに、グラフの作成や切り口の変更を続けて依頼できます。 対応するBIツールとの連携も発表されました。
- 問い合わせ時の権限と、完成した資料の共有範囲は別に確認します。 特にSitesへ公開する場合、分析に使ったデータはサイトへコピーされます。
データ担当者へ集計を依頼する立場の人、業務部門向けの分析環境を整える開発者に向けた記事です。読み終えたら、Dataで試す質問を1つ選び、接続前と共有前の確認項目を整理できます。仕様の確認日は2026年9月15日。以下の例は公式資料に沿った検討用で、実アカウントでの操作や分析精度を測定した結果ではありません。
9月10日の発表で、分析の入口がどう変わったか
変更1:データと、その読み方を一緒に渡せる
Dataエージェントは、PluginsにあるDataプラグインを入口として利用します。プラグインは、AIが仕事を進めるための機能や接続をまとめて追加する仕組みです。今回は、承認されたデータソースを参照し、業務上の問いを調べる用途に向けて提供されました。公式発表。
データベースにある値だけでは、「どの値を足すか」まで決まらない場面があります。売上なら受注と請求、利用者なら登録済みと実際に使った人で、同じ質問でも集計対象が変わります。
そこで使うのが、指標の定義や計算式、データ同士の関係です。Dataはこうした業務文脈も分析に取り込む設計です。社内用語の辞書と集計の手引きを、データの隣に置くと考えると分かりやすいでしょう。
変更2:回答を受けて、そのまま見せ方を変えられる
分析結果を受け取ったあと、「地域ごとに分ける」「先月と並べる」「ダッシュボードにする」と会話を続けられます。数字の確認と資料作成を、同じ依頼の中で進める使い方です。
OpenAIは既存BI製品との連携も案内しています。ただし、BIは分析結果をグラフや表で扱うツールの総称であり、製品ごとに操作や権限が違います。接続先の名前が載っていることと、すべての操作が使えることは同じではありません。 後述する提供元の例も、その製品の条件として読んでください。Dataのダッシュボード機能。
変更3:分析結果を、共有・更新するところまで扱う
Dataは、分析内容を関係者に渡す段階も対象にしています。ここで、元データへのアクセスだけを確かめて終わると、共有先の確認が抜けます。
たとえば集計に使った情報をダッシュボードへ持ち出すなら、そのダッシュボードを誰が読むかも決める必要があります。今回の変化は、質問への回答に加えて、成果物が保存される場所と、その後の利用まで考える場面が増えたことです。
Dataと接続先プラグインは、違う役割を持つ
分析を進める役と、データを読む入口を分ける
Dataを追加しただけで、会社のすべてのデータへ接続されるわけではありません。Dataが利用可能なアカウントやワークスペースに加え、使いたいデータソースのプラグインやアプリへのアクセスが必要です。利用前の条件。
Dataを「分析の進め役」、接続先を「資料室への入口」と考えてください。進め役に依頼を渡しても、入口の利用許可や鍵がなければ、目的の資料には届きません。管理者への相談では、Dataの利用可否と、接続したいサービス名を別々に伝えると確認しやすくなります。
確認する層 | 確かめる内容 | 足りない場合の相談先 |
|---|---|---|
Dataの利用 | Pluginsに表示され、利用を許可されているか | ChatGPT側の管理者 |
接続先の利用 | 必要なプラグインやアプリを使えるか | 両サービスの管理者 |
元データの参照 | 対象のテーブルや項目を読めるか | データ管理者 |
集計の意味 | 正式な指標・対象期間が決まっているか | レポートの担当者 |
この表は、導入時の確認を分けるための整理です。担当者の役割や組織の構成に応じて、一人が複数の確認を担当しても構いません。

Dataへ渡すのは質問だけではありません。使うデータと集計の意味をそろえておくと、結果が既存レポートと食い違ったときにも原因を追えます。
プラン名だけで、利用可否を決めない
公式ヘルプは、利用者のアカウントやワークスペースでDataが利用可能であることを前提にしています。この記事では、日本の全アカウントで同じ画面が出ることや、全プランで同じ機能が使えることまでは確認していません。
管理者の設定も確認対象です。プラグインやアプリの利用者を管理する設定と、操作前の確認を求める設定には別の役割があります。所属先でDataが見つからない場合は、プランの変更を決める前に、対象の機能が許可されているかを調べてください。管理者向けの設定案内。
連携先の公式発表から分かる、できることの違い
ClickHouseとRedshiftでは、既存のデータを問い合わせる
ClickHouseは、Cloud上のRemote MCPサーバーとAgent Skillsをまとめたプラグインを発表しています。MCPは、AIが外部ツールへ接続するための共通の仕組みです。OAuthで接続した利用者が参照できる範囲で、データの構造やクエリ結果を扱います。
同社は、このプラグインのMCPツールを読み取り専用と説明しています。これはClickHouse接続の仕様であり、Dataから使うすべてのプラグインや、Codexが実行する別のコマンドまで読み取り専用になるという意味ではありません。ClickHouseの発表。
AWSも同日、Data向けのAWS Data Analyticsプラグインを発表しました。質問をSQLという問い合わせ文へ変換し、Amazon Redshiftの環境で実行する構成です。AWSは、既存のデータモデルや指標定義、管理方法を置き換えるものではないと説明しています。AWSの発表。
Sigmaでは、既存BI側の成果物として編集を続けられる
Sigmaの更新では、ChatGPTからの依頼でSigma内にダッシュボードを作り、公開後もSigmaのワークブックとして編集を続けられます。すでにSigmaを使うチームなら、作成後の置き場所も含めて検討する対象です。
提供にはSigma側のライセンスなどの条件があります。普段使っているBI環境がある場合は、会話から作れるかに加えて、誰が編集し、どこに保存し、どの権限で読むかを確認すると比較しやすくなります。Sigmaの発表と利用条件。
提供元の例 | 今回確認した使い方 | 先に確認する条件 |
|---|---|---|
ClickHouse | Cloudのデータ参照と分析結果の可視化 | Remote MCPの有効化、接続ユーザーの範囲 |
AWS / Redshift | 自然言語からSQLを作り、既存環境へ問い合わせ | 利用するデータセットと集計定義 |
Sigma | 会話からダッシュボードを作成し、BI側で編集 | Sigmaのライセンス、公開先・編集権限 |
製品間の速度や正答率を比べた表ではありません。現在使っているデータ基盤から、最初に調べる接続先を選ぶための表です。
最初の依頼は、答え合わせできる集計を選ぶ
PluginsからDataを開き、対象を絞って頼む
公式の開始手順は、PluginsでDataを選び、必要ならInstall pluginを実行し、接続先の設定を済ませてから**@Data**で質問する流れです。Dataと接続先の設定が整っているかを先に確認してください。公式の開始手順。
最初から「会社の問題点を全部見つけて」と頼むと、何を正しい結果とするかが曖昧です。初回は、既存レポートで件数を知っている集計を選ぶ方法を勧めます。新しい分析の発見力と、基本的な集計の一致を、一度に評価しなくて済むためです。
以下は、サポート窓口の週次集計を試す想定シナリオです。接続済みのテスト用データにticket_id、created_at、category、is_testがあると仮定しています。実際の項目名へ置き換えて使います。
@Data 接続済みのテスト用問い合わせデータを使ってください。
2026年9月7日0:00以上、9月14日0:00未満(日本時間)に
作成された問い合わせを、ticket_idの重複を除いて数えてください。
is_testがtrueのものは除外し、categoryごとの内訳も示してください。
集計の前に、参照するデータと期間・除外条件を説明してください。
必要な項目が見つからなければ、推測せず不足を教えてください。
まず結果と根拠の確認まで進め、公開・共有はしないでください。
この依頼文は、動作を保証する設定ではありません。AIが実際に参照したデータと実行した処理を、返答やツールの記録から確認します。公開しないという指示に加え、利用環境の権限設定もその目的に合わせてください。
全体件数が合ったら、内訳と条件を見る
仮に、期間内の本番問い合わせがログイン2件、請求1件で、別にテスト用が1件あるとします。期待する集計は合計3件、内訳2件と1件です。テスト用を含む4件が返った場合、集計の見た目を直す前に、除外条件を確認します。
これは架空の入力から決めた期待値であり、Dataが実際に返した回答ではありません。少量のデータで条件を確かめたあと、既存の週次レポートへ対象を広げます。
比較するもの | 食い違いの確認例 |
|---|---|
期間 | 作成日時か完了日時か。日本時間の週か |
数える単位 | 問い合わせIDの数か、履歴行の数か |
除外条件 | テスト・重複・削除済みをどう扱ったか |
内訳 | 分類が空欄のものを落としていないか |
総件数が一致しても、内訳まで一致するとは限りません。 空欄の分類を除いたうえで別の重複を数えていれば、全体だけは同じになる場合があります。担当者が説明できる条件で答え合わせをしてから、新しい切り口の分析へ進みます。
「元データを読める」と「資料を配れる」は別の確認
問い合わせには、接続アカウントの権限が使われる
OpenAIは、問い合わせ時には接続アカウントの既存権限を使い、適用されるテーブル・行・列の制限に従うと説明しています。管理者用アカウントと一般利用者のアカウントで、見える範囲が異なる可能性があります。アクセスと操作の説明。
初回の確認を管理者だけで済ませると、実際に使う担当者の条件を確かめられません。使う予定の権限で対象データに届くかを確認し、届かない場合は必要な範囲をデータ管理者へ相談します。
Sitesへの公開では、分析データがコピーされる
ここは今回の機能を使ううえで見落としたくない点です。公式ヘルプには、Sitesへ公開すると分析に使ったデータがサイトへコピーされると明記されています。元データへの問い合わせが制限されていても、完成したサイトの共有範囲は別に点検してください。公開時の説明。
想定シナリオとして、部署の担当者だけが閲覧する問い合わせ情報から、分析用のサイトを作ったとします。共有するのが部署全体の件数だけなのか、個別の問い合わせ内容まで含むのかで、確認する内容は変わります。「社内に送る」という指定だけでは、その区別がつきません。

問い合わせが許可されていることだけで、配布先まで決めないようにします。Sitesへ移るデータと、完成したサイトを読む相手を公開前に照合してください。
Sites自体にも利用者・公開範囲の設定があり、Enterpriseでは公開Webへの発行が既定でオフと案内されています。ただし、設定があることだけを安全の証拠にせず、共有する内容と相手を確認します。Sitesの提供条件と公開設定。
便利さを判断する前に、確認が残るところ
回答の説明が自然でも、集計条件を省略しない
「利用者が減った理由」を文章で返されると、原因まで分かったように感じることがあります。しかし、件数の変化と、その原因の特定は別の問いです。集計の期間や母集団が変わっただけかもしれません。
公式ヘルプも、結果を使う前にデータ元・期間・フィルター・指標定義を確認するよう案内しています。この記事ではDataの正答率や日本語での精度を測っていないため、「分析を任せれば判断まで正しくなる」とは評価できません。結果の確認に関する案内。
先ほどの問い合わせ集計なら、請求の問い合わせが増えた理由を調べる前に、分類ルールや対象期間が前週と同じかを確かめます。回答の表現を直すより、再集計できる根拠を残すことを優先します。
更新頻度と費用は、接続先も含めて見る
公開したダッシュボードが、そのまま常時更新されるとは扱わないでください。公式は、更新を続ける方法としてクラウド自動化の設定を案内しています。表示中の結果がいつのデータなのか、確認できる形にしておきます。更新の案内。
費用も同様です。この記事ではData利用の総費用を確定していません。確認先は、ChatGPT側の契約・利用枠、データ基盤側で実行する問い合わせ、BI側のライセンスなどです。少なくともSigmaにはライセンス条件があり、ClickHouseやRedshiftの例では接続先環境で問い合わせが走ります。導入費用を「プラグインを追加する費用」だけで判断しないようにします。Sigma、ClickHouse、AWS。
週次レポートの1項目から、使う範囲を決める
今回のDataエージェントは、会社のデータと業務上の定義を使い、分析からダッシュボード作成へ進める入口です。試すなら、毎週確認している件数など、答えと集計条件を説明できる項目を1つ選ぶのが始めやすい方法です。
担当者が用意するのは、使うデータ、指標の定義、比べる既存レポート、想定する共有相手です。結果が一致したら、その会話で内訳を増やしたり、見せ方を変えたりして、必要な作業に使えるかを確かめます。
結果が合わない場合は、期間・重複・除外条件のどこで差が出たかを残します。完成したグラフを使うかどうかは、その差を説明できてから決めてください。
Data以外の仕事でも依頼の組み立て方を見たい場合は、GPT-6 Astraの実践プロンプトへ。確認できた集計の手引きを再利用する設計には、Agent Skillsの作り方も参考になります。
参考・出典
- Now everyone can put data to work — OpenAI(https://openai.com/index/put-data-to-work/、発表日: 2026-09-10、参照日: 2026-09-15)。
- Using the Data plugin in ChatGPT Work and Codex — OpenAI Help Center(https://help.openai.com/en/articles/20001518、参照日: 2026-09-15)。
- ClickHouse is a launch partner for the Data agent in ChatGPT Work — ClickHouse(https://clickhouse.com/blog/chatgpt-data-plugin、発表日: 2026-09-10、参照日: 2026-09-15)。
- Every team is a data team — bring Amazon Redshift analytics to ChatGPT Work — AWS(https://aws.amazon.com/blogs/big-data/every-team-is-a-data-team-bring-amazon-redshift-analytics-to-chatgpt-work/、発表日: 2026-09-10、参照日: 2026-09-15)。
- The Sigma Plugin Is Live for ChatGPT Work and Codex — Sigma(https://www.sigmacomputing.com/blog/sigma-plugin-chatgpt、発表日: 2026-09-10、参照日: 2026-09-15)。
- Admin controls, security, and compliance for plugins and apps — OpenAI Help Center(https://help.openai.com/en/articles/11509118、参照日: 2026-09-15)。
- Creating and managing ChatGPT Sites — OpenAI Help Center(https://help.openai.com/en/articles/20001339-creating-and-managing-chatgpt-sites、参照日: 2026-09-15)。


